2025/06/21(土)の日記 センサー

  介護施設でおそらく広く利用されているのが離床センサーというやつでしょうね。ベッドサイドに設置したり、ベッド下の床に設置したりして、利用者さんがベッドから離れたらセンサーが反応して音が鳴るようになっています。

 転倒の危険性がある利用者さんが独りで立ち上がったり歩行したりするとセンサーが鳴るので、介護者がすぐに駆けつけてリスクを回避することが出来るわけです。

 ……理屈の上ではね。

 しかし現実は違います。離床センサーを利用している方が1人や2人とかの少人数であれば良いのですが、あの人も転倒リスクがある、この人もリスクがある、という感じでどんどん離床センサーを利用する人を増やしていくと、やがて離床センサーが無意味になってくるのです。

 離床センサーの設置が多くなると、複数のセンサーが同時になることが多くなります。また、常に起きたり寝たりを短時間で繰り返す方も居たりして、数分ごとにセンサーが鳴っている利用者さんも出てきます。

 すると、複数のセンサーが同時に鳴る場合は、優先順位というものを考え出します。AさんとBさんではAさんのほうが転倒リスクが高いから、センサーが同時に鳴っているBさんへの対処は後回しにしよう。とかいうことを考えます。

 何度もそういうことが続いて、Bさんへの対処を後回しにし続けても何も事故が起きない状況が続いたとします。するとやがてこう考えるようになります。

 Bさんのところで離床センサーが鳴っても特に問題ない。放置していても大丈夫、と。

 また、数分ごとに何度も離床センサーを鳴らす方に対しても、何度も何度もセンサーが鳴ったということで見に行っても転倒していないということが繰り返されると、そう考えては駄目なんですが、どうしても、その方がセンサーを鳴らしても放置していても大丈夫、と考えてしまうようになってしまいます。

 いや、駄目なんですよ。そう考えては。でも人間、繰り返された刺激(センサーが鳴る)に対して何も起きないことが続くと、どうしても反応する気持ちが無くなるんです。なぜならそれが経験に基づく合理的な判断だから。

 でも、災害は忘れた頃にやって来る。事故も忘れた頃にやって来るんです。

 いつか、今まで大丈夫と思ってた人が転倒するんですよ。だって利用者さんは日々体力や認知力が弱ってきているんだから時間の問題なんです。

 難しいですね。離床センサーを設置する段階で、ある程度リスクが低い人は最初からセンサーを付けないでおき、リスクが高まった段階で離床センサーを設置するということが出来るようになれば良いんですけど、そのリスクの高低の判断するのが難しいんですよね。

 無理だろうね。

 というわけでいづれまた誰かが転倒して怪我をするんだろうなあ。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

2025/09/22(月)の日記 人に対する興味

  人というか他人に対する興味というものをあまり感じたことが無い。もちろん興味を持つ相手というのはいなくは無いが、特に会話や観察を通して積極的にその人について聞き出していこうという気持ちが無い。  自然と聞いて自然と知ることはあるにはある。それだけで良いじゃない。と思ってしまう。...