ショートステイの利用者さんの大部分は認知症である。まったく認知症が無い人というのは、ほとんどいないと思うぐらい認知症の症状がある人が多い。もちろん重い軽いの別はある。
会話が普通でまともだなと思っても、後で会話し直すとさっきのことを忘れている。認知症だ。まあというわけで、大体の利用者さんは認知症だと思って間違いない。
ところが家族さんの中にはそれを理解しない人がいる。自分の母親は認知症にはなっていないと思い込んでいるのだが、職員から見たらその母親、つまり利用者は軽めだけど認知症なのです。
そんな状態であることを前提にして説明すると、利用者さん自身は足の不具合で現在はうまく歩けず車椅子を使っている。
しかし自宅に戻った場合、ひとりで暮らすには歩いて自宅内を移動して欲しいと家族である息子はそう思っている。だからショートステイに対して毎日歩行練習をさせて欲しいと要望しました。
ところがその利用者さんは足が痛くて歩けない。歩行練習なんてとても出来ない。だからまずはできることからやりましょうということで、立ち上がり練習と足踏み練習から始めて、それを毎日行っていました。
そして自宅に帰る日が徐々に近づいてきたということで、その利用者の息子が面会に来て、『うちの母はいつ歩けるようになりますか?』と聞いてきたらしい。
ショートステイを病院かリハビリ施設と間違えていやしませんかね? ショートステイでできるのはせいぜい現状維持まで、より現実的に言うなら現状からなるべく体力が落ちないよう、落ちてもゆっくりと落ちるように努力するという程度です。
で、その息子は母親に聞きました。『毎日、リハビリしてもらってるか?』と。そして母親は答えました。『何もしてもらってない』と。そして息子さんはクレームを入れるわけです。
いやいや、してるでしょ。立ち上がり訓練と足踏み。そもそも歩行練習をしないのはその母親、利用者さんの意思ですよ。
そうです。そういった事情を利用者さんは認識していないのです。認知症だから。でもそれを息子は理解していません。母親は正常なんだと思いこんでいます。
まあ、そういう関係の利用者とその家族っていうのはけっこう多いみたいですけどね。
人間、年取ったらけっこうな割合で認知症になるんです。
上記のリンクを見ると、85歳以上の女性では約半数の方が認知症になるみたいですね。そういう現実を理解してほしいなあ。
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