2024/10/29(火)の日記 もしかしてみんな勘違いしてるかも

  合成の誤謬(ごびゅう)という言葉があります。一人一人としては正しい判断をしているはずなのに、それが大勢合わさる、つまりは合成されると結果的にみんなが間違っていることになるということを表す言葉です。



 わかりやすい例として就職氷河期を例に上げますが、バブル経済が崩壊して景気が非常に悪くなった時に各企業は経営状態が悪化したためにまずはコストダウンをしようとして人件費の圧縮をする為に新卒採用を控えました。

 各企業それぞれとしてはまあ正しい判断だったんでしょうが、結果的にどの企業も日本国内のほとんどすべての企業が新卒採用を何年にもわたって控えたために、現在、その世代の人材が企業内に全くいなくなり、技術の継承が出来なくなっている状態を作ってしまいました。

 また就職がまともに出来なかった就職氷河期世代は経済的に貧しい状態に置かれており、結果的に少子化を加速しましたし、将来の年金も少なくなり、生活保護に頼らざるを得ない世代を作り上げてしまったので社会保障の破綻も見えてきました。

 また各企業それぞれがコストカットこそ正しいと思った経営方針で社員の給料を上げず、サービス残業を強要するようなことを繰り返した結果、国民の所得は上がらず、結果的に物が売れずにますます景気が悪くなりました。



 現在の少子高齢化、景気悪化が続く30年、必要な技術を持った人材の不足、そんな状況になった原因は、バブル経済の崩壊後に、各企業それぞれが正しいと思った『新卒採用の抑制、もしくは停止』、『社員の給料の据え置き、もしくは値下げ』ということをみんなが横並びで行ったことでしょうね。

 まさしく合成の誤謬です。

 さて、それで今日の本題ですが、もしかして今も、私も含めて多くの人がこの合成の誤謬の罠に引っかかっているんじゃないかなと思ったのです。

 私が働いている介護施設でも例にもれず人手不足です。介護職員も送迎を担当する運転手を含む要員も足りません。だから『とにかく人を採用しなくては』、『人を採用しさえすればなんとかなる』と思っていましたが、もしかしなくても日本国内のほぼすべての企業はそう思っています。

 ということは人の取り合いですから、いつまでたっても人手不足は解消されません。経営手法を改善して生産性を上げるということを考えず、とにかく『人を採用すれば』と思っているからです。そもそもこれから先、日本の人口は減っていくばかりですから、採用は更に難しくなるばかりですし。

 だから『人を採用しなければいけない』というのは各企業にとっては正解なんでしょうけど、全体が合わさった時、つまり合成された時、間違った解、不正解にしかならないのではないかと思うのです。

 今、しなければならないのは、『人が採用出来ない状況は今後も続くのだから、少人数でも同じ、もしくはそれ以上の仕事が出来るように経営手法を変えるとか、ロボットやAIなどを導入して生産性を上げる』といった方向へ努力すべきなのでは? と思うのです。

 もしもそれをしなければ、日本の経済状態はさらに悪化するのかもしれませんね。

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