昔、なんとなく買い揃えていた『大系日本の歴史』という本があります。但し全15巻なのですが、第14巻までしか揃えていませんでした。最終巻の第15巻は現代史なのですが、どうしても思想的に歪んで書かれているような気がして販売当時は買わなかったのです。
で、その『大系日本の歴史 第1巻~14巻』までですが、読み込んでいたかというとそうではなく買っただけで満足して完全に積読状態になっていたわけです。しかし何か急に読んでみたくなったので、本をしまっていたベランダのロッカーから出してきました。
出版年月日が1987年11月20日となっています。年号に換算すると昭和62年になります。それでなぜ年号が書かれていないのでしょうか? それは当時を生きていた人ならすぐに分かりますが、昭和62年と言えば既に昭和天皇も晩年でありこの年の9月に宮内庁病院にて手術を受けらています。
当時、大っぴらには誰も言いませんでしたが、昭和天皇がいつお亡くなりになってもおかしくないと思っていた時代でした。というわけで上記の写真に有るように本の出版年月を西暦でしか書かなかったのですね。
つまりもしも出版年月を年号で書いておいて、昭和天皇がその年月日以前にお亡くなりになってしまっていたら、その段階で新しい年号に変わってしまうので、本に書かれた年号が間違ったものになってしまうからです。
結果的に昭和という年号は昭和64年1月7日まで続き、翌日の1月8日から平成という年号に変わったわけです。この時期に出版された本は、おそらくこういった配慮をしていたものが多かったのではないかと思います。
【追記】後ほど他の本を見たらほぼ西暦表記のみの本ばかりでした。現在は西暦表記が標準なのかもしれませんね。しかし昭和50年代だとか平成10年代とかの本は年号表記でしたので、出版社やその時の時代によるのでしょうか?
今から思い出すと昭和天皇が体調を崩されていた時期というのは色々な分野で自粛が行われていたような気がします。いわゆる自粛ムードというやつです。
今と違って昭和天皇は生前退位というものが認められていなかったので、亡くなるまで天皇という立場を維持しなければなりませんでした。
と、ここまで考えて、『大系日本の歴史』の第15巻を読んでみたくなりましたので、先ほどAmazonで中古品を注文しました。うーん、30年以上前の本もちゃんとあるんですね。
思想の歪み具合も、それはそれとして楽しみです。
0 件のコメント:
コメントを投稿