第二地球圏物語 前史
It is historical in front of The second Earth area story
妖精的日常生活 お兄ちゃんはフェアリーガール
作:紅衣北人 / ジャージレッド
第05話 大脱出計画
「申し訳ありません。すべて私の責任です」
人間少女化した皇女のエルフィンの言葉を聞き、その頭が深く下げられるのを見て、軍人上がりの政治家で防衛大臣のティプファンは、わずかに困った顔をした。
「エルフィン様、何も私は責任を追及しようというわけではございませんぞ。ただ、今のまま臣民をだまし続けるというのにも限界があると言いたかっただけです」
「ええ、わかっています。それでも、現状を招いた失敗の原因が私にある以上、責任は私にあると思うのです」
再度深く頭を下げるエルフィンだった。
ところで実はエルフィンは現時点において女皇のディアナを差し置いて、最重要人物という立場にあった。それを説明するには妖精達が計画していることの全貌を話さなくてはならないだろう。
妖精達は機械達と戦う為に人間の身体を召喚することに成功したまでは良かったのだが、早々にこのままでは機械達に勝つことは出来ないということに気がついたのだった。確かに人間の身体は機械達が発する魔法を妨害し無力化する力に影響されないという点において、機械達と戦うには必要十分な身体と言えた。
しかし人間にはドラゴンなどの魔法生物が持つような特殊能力を何ひとつ持ってはいなかったのだ。牙も無ければ鋭い爪も無い。丈夫な鱗も無ければ優れた再生能力も無い。並外れた筋力によるパワーも無ければ持久力すら無かった。
しかも人間の身体になってしまうと、妖精の身体のままだったら使えていた魔法が、それこそ情けない程度のパワーしか出せなくなってしまったのだ。
例えば妖精の時は強力な爆炎を相手に叩きつけるような攻撃魔法を使えていたのに人間の身体になってしまうと、それこそ薪に火をつける程度の炎しか出せなくなるのだ。これでは人間の身体を召喚することが出来たからといって、機械達に即座に勝利出来ると考えるほうがどうかしていた。
しかし機械達に世界の大半を侵略されてしまい妖精の滅亡という言葉が現実味を帯びてくるようなこの時代においては、なにか希望が必要だった。それが人間の身体の召喚に成功したことにより機械達の侵略を退けることが出来るという幻想だったのである。
事実、人間部隊、後に人間と妖精の混成部隊の活躍は機械達の侵略をよく退けることが出来た。少なくとも爆薬等の物資の準備が十分に整っているのであればだが。問題は人間化した妖精も含めた妖精世界においては、武器や爆薬を大量生産する体制がまったく整っていなかったことが大きい。
魔法というと何でも簡単に出来てしまうように誤解されがちだが、実は魔法で出来ることはたったひとつのことでしかない。それは情報やエネルギーも含めた物質を移動させることだけなのだ。
例えばゲームによくあるような火炎による魔法攻撃のようなことも、妖精たちにとっては簡単にできるのだが、魔法によって火炎を作り出しているのではない。どこか別の場所から、火炎を召喚しているのだ。
その召喚先は、もしかするとどこかの山火事の現場かもしれない。地の底のマグマからかもしれない。同様に水や氷を相手にぶつける水魔法も、世界のどこかにあった水や氷を召喚したものだったりする。もちろん雷などの雷撃魔法も同様だ。
何かの道具や建物を作りだす魔法も、物質を原子や分子単位で召喚して積木のように積み上げて再配置して作り出しているわけで、言ってみれば超高性能な3Dプリンターを召喚魔法で代用していると言えなくもない。
しかしそれがどれだけ熟練の技であるかが分かるだろうか。
単純に火炎や水、それに雷などを召喚して相手にぶつけるだけの攻撃魔法は、初級の簡単な魔法でしかないが、高性能爆薬を魔法で製造しようと思ったら、作るべき爆薬の地球世界で言うところの化学式に相当する知識が必要になってくるのだ。
そしてその知識に基づいて、分子単位、場合によっては原子単位で物質を召喚し、再配置及び結合させていくやり方が、魔法によって武器や爆薬を製造していくやり方なのだ。職人技であり、決して大量生産に結びつく製造方法では無い。
そんなことは多少なりとも知識がある妖精であれば分かりきったことであり、召喚された人間が何十万の単位でいたとしても、侵略者である機械群を世界のすべてから駆逐し平和を取り戻すことができない相談だということは自明のことであった。
「エラ殿、臣民たちも、このままではあの機械群、ロボットたちに勝てないということは、口に出さずとも理解しています。そして、だからこそでしょうな。人間召喚によって機械たちを撃破するのが表の顔でしかなく、裏では何か大きな計画が進行しているはずだと噂しているのですよ。その噂があればこそ、臣民たちは何とか平穏を保っているのでしょうな」
「大脱出計画が漏れているというのですか?」
老境にある女大魔導士であるエラにとり、聞き捨てならない発言だった。計画の実行はともかく、立案には当初から絡んでいた中心的な人物がエラだったからだ。
「そうではありません。臣民たちは希望を見たがっているのですよ。その願望が、裏の計画があるはずだという憶測を生んでいるのです。まあ、実際に裏の計画はあるのですがね」
「エラ様、それにティプファン大臣、私が召喚を失敗させなければ、すでに大脱出計画は実行に移されていたはずです。誠に申し訳ありません」
エルフィンは二人のやり取りを見て、表情を硬くしながら謝罪の言葉を紡ぎだす。
「エルフィン、もう良い。謝罪の言葉は耳に心地良いかもしれぬが、前に進むにはそれだけでは足りぬと理解しなさい。それにティプファン大臣、そろそろ真に思うところを話してはくれぬか。私にはそなたが何やら心に秘めているのが感じられるのですが」
話の推移をうかがっていたディアナ女皇は、娘のエルフィンとは対照的な、にこやかな笑顔を浮かべていた。
「ははは、ディアナ女皇におかれましては、すべてお見通しでしたか。それでは申しましょう。大脱出計画の見直しを図っていただきたい」
大脱出計画。それは人間を召喚し、その能力では機械群を完全に打ち倒すことができないと理解されたときに立案された計画である。
妖精界の中央大陸の東に浮かぶ大国、秋津島。何やら和風なネーミングと、そこに住む妖精たちの洋風な名前にミスマッチを感じるが、今、重要なのはそこではない。秋津島を治める皇家の家系には、数代置きに特別な力を持つ妖精が生まれることがある。
それは同調・共鳴能力と言えばよいだろうか。己一人の魔力だけで魔法を使うのではなく、大勢の妖精達と同調し、魔力を共鳴させ、一人だけの魔力では到底叶わない強大な魔法を行使することができる能力のことであり、その能力の持ち主が、秋津島の皇女エルフィンなのだった。
「それは現在の私が、人間界にいるはずの私の元の体と同調して魔法を行使できないからですね」
悲しそうにエルフィンはつぶやく。
さて、妖精たちが言う大脱出計画とは、いったい何なのだろうか。それこそ人間の体のみを大量に召喚する裏の目的である。
機械たちに対抗する為に人間の体を召喚すると同時に妖精の体を人間界へと送り、妖精と人間のそれぞれの体をチェンジリングする相互換身召喚の表の顔は、機械群に対抗できる人間の体を妖精たちが手に入れるというものであるが、真なる目的は人間界に魔法発動体としての妖精の体を一定数以上、【設置】することにある。
「80万体以上の妖精の体を人間界へと設置、仕上げに魔法の同調・共鳴能力の持ち主であるエルフィン様が己の魂と波動を同一とする人間と体をチェンジリングすることにより、人間界における召喚魔法発動のキーとなる。それが大脱出計画の準備完了となるはずでした」
静かに語る女大魔導士の老妖精エラ。大脱出計画の立案にかかわっていた立場だけに、計画が破綻しかけている今、その表情には苦悩の色が見える。
「そして、エルフィン様が発動した召喚魔法は、人間界における元のエルフィン様の体を発信源として80万体以上の妖精に対して魔力共鳴を起こし、過去に例の無い大規模召喚魔法を発動させ、妖精界に残った元妖精の人間たちを含めた妖精界に住む妖精たち全員を、人間界へと召喚脱出させる。それが人間召喚の裏の目的、大脱出計画でした」
「なのに、最後の最後になって、私が魂の波動を同一とする長谷川珠美香さんとの相互換身召喚に失敗してしまいました……」
「いえ、エルフィン様、失敗の遠因は計画を立案した私たちにあります。よくよく考えれば、エルフィン様と魂の波動を同一とする人間であれば、人間であろうともエルフィン様が持つ同調・共鳴能力を同じく持つであろうことは、十分に予想できることでした。姫様のせいではございません」
エラはエルフィンを慰めるように、やさしい声をかけた。
エルフィンの失敗、それは具体的にはどういうことかと言うと、1年前のあの日、エルフィンが長谷川珠美香を召喚して、お互いの体を換身、チェンジリングしようとした瞬間、珠美香がエルフィンが持つ能力と同じ能力である同調・共鳴能力を使い、本来ならエルフィンと珠美香しか存在できないはずのパーソナルな夢幻界に、珠美香の兄である幹也が呼びこまれてしまったことで起きてしまった玉突き召喚事故のことである。
「しかし結果として私は召喚に失敗し、私と珠美香さん、そしてそのお兄様の3人は、存在が量子レベルで混ざり合ってしまいました。存在がずれてしまったせいで、今ではもう、珠美香さん個人を特定して魔力を同調することすらできなくなってしまったのです。これが失敗でなくて何なのでしょう」
エルフィンは暗く落ち込み、それを見たエラもまた、言葉をかけることができずにいたのだが、その雰囲気を打ち破ったのは女皇のディアナであった。
「ほらほら、ティプファン殿、あなたが具体的に言わないから、私の娘が落ち込んでいるではありませんか。もったいぶらずに話したらどうですか。今のあなたの心の波動には、いたずら心があふれていますよ」
女皇ディアナは、最近ふくよかになりかけたその顔に満面の笑みを浮かべてコロコロと笑う。
「ははは、そうですな。では少々、長くなりますが、お話しすることにしましょう。もしかすると大脱出計画を成功させることができるアイディアを!」
ティプファンの笑顔は、いつにないものであった。
防衛大臣のティプファンには、息子がいる。今は近衛騎士として働いているアヒカルである。親に似てコウモリのような黒い羽根を持ち、剣の腕も確か。魔法の才もあり、特に大出力な攻撃魔法に定評がある。顔はいわゆるイケメン。浅黒い肌がキリリとした印象を与えている筋肉質な細身の男である。
最近、そのアヒカルに人間界における魂の波動を同一とする者が見つかった。相互換身召喚、チェンジリングに対するアヒカル本人の意思も強く、多くの魔導士と魔力を増幅する魔導炉の助けを借り、つい先日、召喚の相手と夢幻界を通じてコンタクトを取ることに成功したのだという。
相手は20代の女性であった。チェンジリング後は性転換することになるのかと、一瞬だが重い気持ちになったアヒカルだったが、機械群の侵略から秋津島を守るためにはこの身を捨てる覚悟を誓ったはずだと気持ちを切り替え、召喚の交渉をし始めたのだが、ここで思わぬ事実が発覚した。
なんと滝沢汐海と名乗る女性は、妊娠初期の段階にあったのだ。
滝沢汐海は、恋人との同棲生活ののちに妊娠が発覚し、恋人から堕胎をするように勧められたところで、両親が介入。実家へと連れ戻され、厳格な両親のもと、半ば軟禁状態にあるという。
しかも両親は正式な結婚をしたわけでもないのに娘を妊娠させた男を受け入れることはできず、そんな男の遺伝子が混ざった子供を孫として受け入れることもできないということで、汐海に堕胎を強要。数日後にはその処置がされるところまで追い込まれているという。
そして親には逆らえないやさしい性格の汐海は、どうすることもできず、ただ、泣いて暮らしていたところ、そのような状況でアヒカルが召喚の交渉に現れたというのだという。
「その滝沢汐海と名乗る女性が言うには、『おなかの中の子を助けてくれるなら召喚に応じても良い』と言ったということらしいのですが、アヒカルも自分の一存では決められないということで、その日はあえて召喚せずに私に相談してきたのですが、これはチャンスではないですかな? 人質をとれるという意味ですが」
とても良い影のある笑顔を浮かべるティプファン。見た目はもう悪の大幹部というところか。
「人質とはまた物騒な。いったい何を考えているのですか」
息を飲んで黙っているエルフィンを尻目に、エラは静かに問うた。
「なに、簡単なことですよ。自発的な協力、最悪でもお腹の中の子供を人質にすれば、チェンジリング後もこちらの言うことを聞かせることができるわけですよ」
そしてティプファンは己の考えを話し始めた。
まず大前提として、人間の魂を妖精界に召喚することはできないのだが、何事にも例外というものはある。何万、何十万の単位で人間の体を召喚した事例の中には、まだ本人が自分の妊娠を自覚していない状態で召喚されたケースもあったのだが、全員が無事に出産を果たしているのだ。
つまり自我を持った人間の魂を妖精界に召喚することはできないのだが、胎児の段階の人間であるなら、魂ごとその体を召喚できるのだ。それはつまり、滝沢汐海に宿る子供を無事に妖精界に召喚保護できるということになる。
そしてエルフィン皇女と魂の波動を同じくする長谷川珠美香だが、その兄がイレギュラー要因として召喚に介在してしまい、3人が量子的に混ざり合った存在になったのならば、3人がそろった段階でなら魔力を同調・共鳴させることができるのではないか?
「いかがですかな。エラ殿、人間世界に協力者がいれば、エルフィン様がこちらから魔力を同調させ大規模召喚魔法を発動させることができる状況を作れるのではないですかな」
ニヤリと暗い笑顔を浮かべつつ、ティプファンは防衛大臣として、老境にある女大魔導士であるエラに問う。そしてエラもまた、宮廷に仕える大魔導士としての矜持にかけ、答えるのだった。
「それは……、可能でしょう。確かにエルフィン様と長谷川珠美香さんだけでは魔力同調は無理でも、そこに長谷川珠美香さん自身がまず同調・共鳴能力を使うことができて、今回のイレギュラーとなった要因の珠美香さんの兄と同調・共鳴、そこにエルフィン様が上乗せする形で同調・共鳴状態に持っていけば、何とかなると思います」
「そうでしょう、そうでしょう」
「しかし、その為には協力者となる人間、いや、チェンジリング後にアヒカルさんの体となった滝沢汐海さんと、常に連絡を取れる体制を作らないと」
「それでは、アヒカルが滝沢汐海さんを換身召喚した後は、現在も続けている臣民の皆様の換身召喚を一部中止して、魔導炉の継続的な使用を人間となったアヒカルに許可しましょう」
ディアナ女皇は、何でもないという涼しい顔で指示を出した。
実はエルフィンが長谷川珠美香との換身召喚をしようとした時点で、大脱出計画に必要な数の妖精を人間界に【設置】し終えているので、今はもう大脱出計画としては換身召喚を続ける意味がなくなっている。
機械群と戦うための戦力としての人間の体も、武器や爆薬の生産が追い付かない状態では、さほどの意味はない。
ではなぜ未だに換身召喚が続けられているかというと、妖精界が完全に機械群に侵略されてしまうこと、つまり妖精たちが負けて絶滅してしまうことを前提とした、種の保存を目的としているのだ。
大脱出計画が妖精たちが育んできた文明・文化もパッケージしての存続計画だとするならば、換身召喚を続けることにより、ひとりでも多くの妖精の体を人間界に送るのは、文明・文化をパッケージしない状態での存続計画だと言える。
事態はそこまで深刻化していたのだ。
ちなみに魔導炉とは何かといえば、妖精たちの魔法技術で出来た魔力を増幅させる装置のことで、多大な魔力を必要とする相互換身召喚・チェンジリングにおいて必須のアイテムである。
つまりディアナ女皇は、妖精たちの体を一体でも多く人間界へと送るという種の存続に繋がる活動を一部中止し、浮いたリソースをアヒカルが滝沢汐海と夢幻界を通じて連絡を取り合うということのみに使用する許可を出したのだ。
「よろしいのですか? お母様」
人質をとるということの是非、妖精の種を保存するという行為を一部中断するということの是非、そしてそうまでした結果、果たして自分に長谷川珠美香とその兄を対象に魔力の同調・共鳴ができるのか。様々な意味を込め、エルフィン皇女はディアナ女皇に質問した。
「覚悟はできているのでしょう?」
「はい、秋津島とそこに暮らす臣民たち、さらには世界各地から機械の侵略を逃れてきた難民の皆様を救う為なら、この身は地獄に落ちようと構いません」
存在が量子的に混ざり合っているからだろうか。本来なら黒い瞳であるはずなのに、エルフィンの瞳は青かった。その青い瞳にこれ以上は無いという決意を込めて、エルフィンは答えた。
「よろしい。では、今後はティプファン大臣の息子、近衛騎士のアヒカルと、そのチェンジリング相手である滝沢汐海嬢にすべてを託すことにいたしましょう」
それから先の展開は早かった。会議の場に呼ばれた近衛騎士のアヒカルの意思確認が行われると、すぐさまアヒカルは魔導炉センターへと連れていかれ、女大魔導士エラ直々のサポートにより、相互換身召喚の儀が始められた。
人間界にいる滝沢汐海とコンタクトが取れたのは、それから間もなくだったらしい。
魔導炉の中に入って行ったアヒカルが、1時間もしないうちにそこから出てきた時、その姿は一糸まとわぬ人間の女性の姿だった。黒いストレートの髪がスタイルの良い腰まで伸びている。
慣れぬ体で少しふらつきながらアヒカルが歩み出すと、待機していた元妖精の人間の女性たちが、彼改め彼女に衣服をかけてやる。
その歩みは次第に確かなものになり、やがてぼうっとしていた表情に、近衛騎士としてのいつも精悍さが戻ってきた。
「アヒカルよ。つらい仕事を押し付けてしまったな」
「エラ殿、何を言われますやら。私たちには手段を選ぶ余裕など残されていないのですよ」
アヒカルの顔の高さに合わせて飛んできたエラは、すまなさそうに言ったのだが、アヒカルの答えはさわやかだった。吹っ切れた笑顔が痛々しくもまぶしい。
妖精世界を侵略する星々の世界から来たとされる機械群、ロボットたち。防戦一方に追い込まれた妖精たちが種の存続をかけて達成しようとする大脱出計画。
様々な解釈があろうが、大脱出計画とは妖精たちによる人間世界への侵略という側面もなくはない。果たして大脱出計画が完遂された後に、人間たちと妖精たちの間で生活圏を巡る争いは起きないのであろうか? 現時点でそれが分かる者は誰もいない。
そしてアヒカルと滝沢汐海との間にどのような会話があり、アヒカルという妖精の体を得た汐海がこれからどういう行動を取っていくのか。
その物語が語られるのはしばし後になるだろう。
限られた手段の中で、妖精たちは必死に生き抜こうとしている。それが生物としての自然な姿なのだ。他の者を押しのけても生きていこうとする姿を誰も非難はできない。
しかし生きていこうとするのは妖精たちばかりではない。人間もまたそうであるのは当たり前の話だ。
妖精たちはただ生存する為に生きていこうとしているが、人間たちは余裕がある分、より良く便利に生きていこうと模索する。
両者の意思が混ざり合った時、妖精も人間もそれぞれが予想だにしない結果がもたらされるのだが、それを知る者は、まだ誰もいなかった。
妖精界の夜明けはまだ遠かったが、希望だけは見えていた。
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